トレッキングパンツの選び方|素材と伸縮性で決める基準

売り場では、厚手のソフトシェルと、指でつまめるほど薄いナイロンが、同じ「トレッキングパンツ」の札の下に並んでいます。形は似ていても、前者は風と小雨を防ぐための生地、後者は汗を早く乾かすための生地で、狙っているものが別です。
選ぶときにいちばん差が出るのは生地の伸び方と厚さで、4WAYストレッチと書かれたものは縦横どちらにも伸びるため、段差の大きい岩場でも膝が上がります。
反対に、伸びない綿混のパンツは濡れると乾きにくく、体温を奪います。
本記事では、生地の3タイプの違い・タイプ別に向いている人・サイズ表記の読み方・洗濯と撥水の戻し方を解説します。

アウトドア一歩 編集部
「アウトドア一歩」は、釣り・登山・雪山・海辺・BBQ・観察・クマ対策・ポータブル電源まで、アウトドアの道具選びを用途別にまとめるメディアです。メーカーが公式に公開している仕様を確認したうえで、何を見て選べばいいのかを整理してお伝えします。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
トレッキングパンツで最初に見るのは、生地の伸びと股上の深さ
登山道で膝を高く上げる場面は、想像しているより多くあります。
木の根の段差、岩の一歩、倒木のまたぎで、そのたびにパンツが引っかかるかどうかは、生地の伸びと股まわりの作りで決まります。
色や見た目より先に、この2点を確かめてください。
伸びる方向は2WAYと4WAYで違う
ストレッチをうたう生地はポリウレタンを数パーセント混ぜて伸びを出したものが多く、タグには2WAYまたは4WAYと書かれています。
2WAYは主に横方向へ伸び、4WAYは縦横どちらにも伸びるので、脚を前に振り上げる動きでは4WAYのほうが突っ張りにくいです。
試着できるなら、鏡の前で立って確かめるのではなく、その場で片足を腰の高さまで上げ、深くしゃがんでみてください。
太ももの後ろが張るか、膝で生地が止まるかは、その動きでしか分かりません。
股上が浅いと、屈んだときに背中が出る
ザックのヒップベルトは腰骨の上に乗るため、股上の浅いパンツだとウエストがベルトの下に隠れ、前屈みになった瞬間に背中が空きます。
汗をかいた背中に風が当たると、休憩のたびに冷えます。
後ろの股上を深く裁断したモデルや、ウエストがゴムとドローコードで調整できるモデルは、バックルとヒップベルトが重ならないぶん腰の当たりも軽くなります。
膝が立体裁断になっているかどうかも、しゃがんだときの引っかかりに直結します。
生地で分かれる3タイプ|ソフトシェル、薄手ナイロン、ジップオフ
店頭の分類は「メンズ・レディース」「春夏・秋冬」で並んでいますが、実際に歩き心地を左右するのは生地の作りです。大きく3タイプに分かれます。
ソフトシェル
ポリエステル系の織物にポリウレタンを混ぜ、表面に撥水加工をかけた生地で、裏を薄く起毛させたものもあります。
風を通しにくく、霧や小雨程度なら表面で弾くため、風の抜ける稜線や春秋の肌寒い日で扱いやすいタイプです。
ただし防水ではないので、本降りの雨ではレインパンツが必要になります。
厚みがあるぶん、真夏の樹林帯の登りでは暑さを感じます。
薄手ナイロン
ナイロンやポリエステルの薄い平織りで、リップストップと呼ばれる格子状の補強が入ったものもあります。
軽くて乾きが早く、汗をかく登りでも肌に張り付きにくいのが特徴で、夏の縦走や荷物を減らしたい行程に向きます。
一方で薄い生地は紫外線を通すことがあり、UPFの表記が付いていないものは日焼けの対策として過信できません。
日よけの考え方は登山の帽子の選び方で解説しています。
ジップオフ(コンバーチブル)
膝上のジッパーで裾を外し、ショートパンツとして履けるタイプです。
標高差が大きく、麓は暑くて上は涼しい行程では着替えずに調整でき、外した裾はザックに入れておけます。
代償として、ジッパー部分の重量が増え、その線が座ったときに膝裏へ当たります。
歩行中にジッパーが肌をこすらないか、試着で確かめておいてください。
タイプ別に見る、どのトレッキングパンツが自分に合うか
| タイプ | 生地と作り | 向いている人 |
|---|---|---|
| ソフトシェル | 撥水加工つきの織物。風を通しにくく、裏起毛のものもある | 春秋の日帰り、風の強い稜線、雪のない冬の低山を歩く人 |
| 薄手ナイロン | 軽く薄い平織り。汗抜けと乾きが早い | 夏の縦走、汗をかきやすい人、装備の重量を削りたい人 |
| ジップオフ | 膝上のジッパーで裾が外れる二役の作り | 標高差の大きいルート、気温差の読めない時期に登る人 |
向かない組み合わせもはっきりしています。
ソフトシェルは真夏の低山では暑く、汗が引かないまま下山することになります。
薄手ナイロンは風を止めないので、稜線で風速が上がる時期に一本だけで通そうとすると、脚から冷えます。
ジップオフは膝から下を外せる利点と引き換えに縫い目とジッパーが増えるため、一本を長く使い込みたい人には、シンプルな作りのほうが向きます。
年間を通して登るなら、薄手を一本と、風を止められる一本の二本立てが現実的です。
綿のパンツで登る、丈を測らずに買う|失敗しやすい選び方
いちばん多い失敗は、手持ちのチノパンやデニムで登ってしまうことです。
綿は水を吸って乾きにくく、濡れたまま風に当たると体温を奪われ続けるので、気温の低い時期には低体温症の危険が出ます。
汗でも同じことが起きるため、登山では化学繊維を選んでください。
もう1つ多いのが、丈を確かめずに買って裾を踏むことです。
登山用の靴は普段履きよりソールが厚く、履いた状態では足首の位置が上がります。
裾が余ると下りで踏みますし、逆に短すぎるとハイカットの靴と裾の間に隙間ができ、砂や小石が入ります。
靴の高さと裾の関係は登山靴の選び方で解説しているカットの高さの話とあわせて考えると決めやすくなります。
撥水加工を防水と読み替えてしまうのも危ない勘違いです。
トレッキングパンツの撥水は表面で水滴を弾く処理で、耐水圧の数値で保証された防水層ではありません。
雨の予報があるならレインパンツを別に持ってください。
耐水圧という指標そのものの読み方はスキーウェアの選び方で解説しています。
トレッキングパンツのサイズは、ウエストと股下の2つで読む
日本のブランドはS・M・Lとウエストのセンチ表記が併記されていることが多く、海外ブランドはウエストと股下(インシーム)をそれぞれインチで示すものがあります。
1インチは2.54センチなので、股下30インチはおよそ76センチ、32インチはおよそ81センチです。
同じウエストでもレングスを選べる作りかどうかで、裾上げの手間が変わります。
測るのは2か所だけです。
ウエストは腰骨の少し上、ヒップベルトが乗る高さで測り、股下は普段履いている登山靴を履いた状態で、股から靴の甲までを測ります。
裾がわずかに靴に触れる長さがちょうどよく、余った布が地面に届くようだと下りで踏みます。
裾幅も見てください。
細身の裾はローカットの靴に合いますが、ハイカットの靴だと引っかかることがあり、逆に広い裾はドローコードやスナップで絞れる作りだと足首まわりが落ち着きます。
裾の形と靴の相性はトレッキングシューズの選び方で解説している靴の高さと合わせて確認すると失敗が減ります。
ザックを背負う前提でワンサイズ上げる必要はありません。ウエストがゴムとドローコードなら締めて調整でき、大きすぎるパンツは股上が下がって歩くたびにずれます。
洗濯で撥水は戻る|買ったあとの手入れと買い替えの目安
撥水が落ちたと感じるとき、実際には生地の表面に汗や皮脂、土の汚れが付いて水を吸っている場合があります。
まず洗ってください。
洗剤が残ると撥水を妨げるのでよくすすぎ、柔軟剤は避けるよう取扱表示で指定しているメーカーもあるため、タグを先に読んでおくと安心です。
乾かしたあとに低温の熱を加えると撥水が回復することがありますが、熱の上限は製品ごとに違うので、乾燥機やアイロンを使う前に表示を確認してください。
それでも水を弾かなくなったら、市販の撥水スプレーで足せます。
消耗が出るのは決まった場所で、岩場で腰を下ろす人はお尻、膝をつく人は膝、ザックのヒップベルトが当たる腰の側面から生地が薄くなります。
裾は靴のアイゼンやソールで擦れて裂けやすい部分です。
生地が透けてきたり、縫い目がほつれてきたら買い替えを考える時期で、ジップオフのジッパーは動きが渋くなったら砂を落として様子を見てください。
使ったあとに泥を落として陰干しするだけでも、撥水と生地の寿命は変わります。
よくある質問
ジャージやスウェットで登ってはいけませんか
短時間の低山なら歩けますが、綿混のスウェットは汗と雨で濡れると乾かず、風で体を冷やします。
ジャージも生地が薄いものは枝や岩で裂けやすいです。
化学繊維で、伸びと耐久のある一本を用意したほうが行動が楽になります。
夏はショートパンツとタイツの組み合わせでもいいですか
選択肢として成り立ちます。
タイツで擦れと日焼けを抑えつつ、太ももの動きが妨げられません。
ただし薄いタイツは笹や岩の擦れに弱く、虫にも刺されやすいので、藪の多いルートでは長い丈のパンツのほうが守れます。
日差しの強い時期は、目の対策として登山用サングラスの選び方で解説しているレンズの濃さもあわせて考えてください。
作業着売り場のパンツで代用できますか
化学繊維でストレッチが入ったものなら、里山の日帰りで使っている人はいます。
ただし膝の立体裁断や裾の絞りといった登山向けの作りは省かれている場合があり、丈や裾幅も登山靴を前提にしていません。
同じ売り場の靴についての注意点はワークマンの登山靴は使える?で解説しています。
冬も同じトレッキングパンツで歩けますか
雪のない低山なら、風を止められるソフトシェルにタイツを重ねる形で対応している人が多いです。
積雪のある山では雪が付着して濡れるため、防水性のあるパンツやゲイター(すねを覆う装備)が前提になります。
行く山域の積雪状況を先に調べてください。
まとめ
トレッキングパンツは、4WAYストレッチかどうかと股上の深さで歩きやすさが決まり、生地の種類で使える季節が決まります。
風の強い時期はソフトシェル、汗をかく夏は薄手ナイロン、標高差の大きいルートならジップオフという分け方が目安で、綿は季節を問わず避けてください。
サイズは登山靴を履いた状態のウエストと股下を測れば、迷う余地が減ります。
ぜひ本記事のタイプ別比較表と、ウエストと股下の測り方を参考に、自分が登る季節と山に合う一本を選んでください。

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