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登山のピッケルの選び方|長さとブレードの形で決める基準

登山のピッケルの選び方|長さとブレードの形で決める基準

登山用品店の壁に掛かったピッケルは、遠目にはどれも同じ形に見えます。

違うのはシャフトに小さく入ったBまたはTの記号と、50cmや55cmという長さの数字です。

この記号はUIAAとEN 13089という規格の強度区分で、Bは雪の斜面での歩行や一般的な冬山向け、Tは氷や岩に打ち込んで体重を預ける使い方に耐える区分として試験されています。

つまり、同じ「ピッケル」という名前でも、登る山と使い方が決まらないと長さも規格も決められません。

逆に行き先が決まっていれば、候補は数本まで絞れます。

本記事では、長さの決め方・B規格とT規格の読み分け・タイプ別に向いている人と向かない人・買った直後にやることまで解説します。

アウトドア一歩 編集部

アウトドア一歩 編集部

「アウトドア一歩」は、釣り・登山・雪山・海辺・BBQ・観察・クマ対策・ポータブル電源まで、アウトドアの道具選びを用途別にまとめるメディアです。メーカーが公式に公開している仕様を確認したうえで、何を見て選べばいいのかを整理してお伝えします。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

ピッケル選びで最初に決まるのは長さと規格表記です

ピッケルの仕様表で並ぶ項目は多くありませんが、行き先を左右するのは長さと強度区分の2つです。

長さは50cm前後から60cm台まであり、短いものは急な斜面で足元の雪に刺しやすく、長いものはなだらかな雪面を杖のように突いて歩くときに扱いやすくなります。

同じ人が同じ山に行くのでも、樹林帯の急登を登るのか、広い雪原を長く歩くのかで使いやすい長さは変わってきます。

強度区分はシャフトとピックそれぞれに付き、B(ベーシック)とT(テクニカル)で試験の条件が違います。

Tのほうが高い荷重に耐える前提で作られているため、氷に打ち込んだり、支点として体重を預けたりする使い方が想定される山ではT表記のものが選ばれます。

雪稜の歩行と滑落停止が主な用途ならB表記でも設計の範囲に収まりますが、どの区分に該当するかはメーカーの公表値を確認してください。

なお、無雪期の登山でピッケルが要る場面はほとんどなく、必要なのは残雪や凍結した斜面を通過するときです。夏道を歩く装備の考え方はトレッキングシューズの選び方で解説しています。

歩行用・縦走用・アイスクライミング用というピッケルの3タイプ

歩行用(ストレートシャフト)

シャフトがまっすぐで、下端のスパイクを雪面に突いて杖として使えるタイプです。

ヘッドのピックは緩やかな曲がりで、雪の斜面に刺したり、滑落停止の動作に使ったりする前提で作られています。

シャフトがアルミ合金の製品が多く、重量は400〜600g前後に収まるものが中心で、B区分の表記が付いていることが一般的です。

縦走・ミックス用(セミベントシャフト)

ヘッドの下あたりからシャフトがわずかに曲がっていて、雪壁や岩が混じった斜面でピックを打ち込みやすくなっています。

手を掛ける部分にラバーのグリップが付く製品が多く、T区分の表記も見かけます。

まっすぐなタイプより雪面に突いて歩く動作はしにくくなるので、歩く時間が長いルートでは扱いにくさを感じることがあります。

アイスクライミング用(テクニカルアックス)

シャフトが大きく湾曲し、下部にもグリップが付いた形で、氷に打ち込んで登ることに特化しています。

ピックを交換できる製品が多く、2本1組で使うのが基本です。

杖として突く使い方は想定されていないため、雪の斜面を歩くだけの山にこれを持っていくと、かえって歩きにくくなります。

タイプ別に向いている人と、向かない人

タイプ形状と強度区分の傾向向いている人向かない人
歩行用ストレート、B区分が多い、400〜600g前後雪山を始める人、残雪期の縦走や雪原歩きが主な人氷の壁を登る計画がある人
縦走・ミックス用ややベント、T区分もある、グリップ付き雪稜や岩混じりの斜面を登る人、支点構築の可能性がある人歩行時間が長く、杖として使いたい人
アイスクライミング用強い湾曲、T区分、ピック交換式アイスクライミングを目的にする人雪の斜面の歩行と滑落停止が用途の人

迷ったときの判断材料になるのは、一緒に行く人の装備と行き先です。

ガイド講習や山岳会の雪山講習で最初に指定されるのは歩行用のストレートシャフトで、滑落停止の動作もこの形を前提に教えられます。

テント泊で荷物が重くなるほど、ピッケル1本の重さの差も歩行に響くので、装備全体の重量から逆算するのが現実的です。

泊まりの装備の組み方は登山のテント泊に必要な道具で解説しています。

長さは身長ではなく、使う斜度から逆算します

昔は「腕を下げて持ち、スパイクがくるぶしのあたりに来る長さ」という目安が使われていましたが、いまは当時より短めが選ばれる傾向にあります。

平らな雪面を突いて歩くだけなら長いほうが楽ですが、斜度が上がると長いシャフトは邪魔になり、足元の斜面にピックを刺す動作がしにくくなるためです。

身長170cm前後の人が一般的な冬山の歩行に使うなら55cm前後が扱いやすく、急な斜面が多いルートなら50cm前後まで短くする選び方になります。

店頭で試すなら、厚い冬用グローブをはめた状態でヘッドを握り、腕を下げて構える動作と、斜面に刺すつもりで前に構える動作の両方を確かめてください。

もう一つ確認しておきたいのは、ザックに固定できる長さかどうかです。

日帰りサイズのザックだと60cmを超えるピッケルは背面から大きくはみ出すので、アックスループとシャフトの固定位置を実物で合わせておくと安心できます。

日帰り向けの容量の考え方は登山用30Lリュックで解説しています。

ピッケルの買い間違いは、規格の取り違えとアッズの選択で起きます

買ってから合わないと気づく理由のうち、いちばん多いのが強度区分の取り違えです。氷を登る予定がないのに重いT区分のテクニカルアックスを買ってしまうと、歩行では重さだけが残りますし、逆に支点として体重を預ける可能性があるルートにB区分を持ち込むのは、設計の想定を外れた使い方になります。

次に迷いやすいのがヘッドの反対側の形で、平たいアッズ(雪を削る刃)とハンマーの2種類があります。

雪の段差を削ったり足場を作ったりする歩行主体の使い方ならアッズ、ハーケンを打つ場面があるならハンマーという選び分けです。

リーシュ(流れ止めのバンド)とピックカバーは別売のことが多いので、本体と一緒に用意しておいてください。

さらに見落としやすいのは足元との組み合わせです。

ピッケルを使う斜面ではアイゼンも同時に使うので、アイゼンが確実に装着できるソールの硬さがある靴でなければ意味がありません。

靴の硬さの見方は登山靴の選び方で解説しています。

ピッケルを長く使うための手入れと、買った直後にやること

使ったあとにやることは多くありません。

雪と水分を拭き取り、乾かしてから保管する、これだけでスチール製のピックとスパイクの錆をかなり抑えられます。

ピックの先が丸くなってきたら手作業のヤスリで整えますが、削りすぎると形状が変わりますし、電動工具は熱で金属の性質を変えてしまうので使わないでください。

シャフトのグリップの緩みやヘッドのぐらつきに気づいたら、自分で締め直す前に販売店やメーカーに相談するのが確実です。

買った直後にやっておきたいのは、滑落停止の動作を安全な場所で体を動かして覚えることです。

ピッケルを持っていることと止められることは別で、実際の斜面では姿勢を作るまでの時間がごく短いため、講習会や経験者の同行で反復しておく価値があります。

練習では雪の上に膝や腹をつけるので、耐水圧のあるウェアが前提になります。

生地の数値の読み方はスキーウェアの選び方で解説しています。

よくある質問

残雪期の登山にもピッケルは必要ですか

凍った急斜面やトラバースが残るルートでは必要です。

春でも早朝の雪面は硬く締まっていて、ストックでは止まれません。

反対に、雪が消えた夏道だけをたどるなら持つ意味はほとんどないので、行くルートの残雪状況を山小屋や自治体の情報で確かめてから判断してください。

ストックとピッケルはどちらを持てばよいですか

役割が違うので、雪山では両方を持ち、場面で持ち替える人が多くいます。

緩い登りや長い林道歩きはストック、斜度が上がって滑落の可能性が出てきたらピッケルに替えるという使い分けです。

ザックに固定して切り替える前提で、両方の収納位置を先に決めておくとスムーズです。

ピッケルは飛行機で運べますか

刃物や先の尖った用具にあたるため機内には持ち込めず、預け入れ荷物として運ぶことになります。梱包や取り扱いの条件は航空会社ごとに定められているので、予約した会社の規定を出発前に確認してください。

中古のピッケルを買っても大丈夫ですか

おすすめできません。

ピッケルは体重を預ける道具で、外から見えない衝撃の履歴や金属の疲労を判断できないためです。

強度区分の表記が読めないほど古いものも同じで、体を託す装備には現行品を選んでください。

まとめ

ピッケルは、行き先が決まれば選ぶ範囲が一気に狭くなる道具です。

雪の斜面を歩いて登る山ならストレートシャフトのB区分で55cm前後を基準に、急斜面が多ければ短く、氷を登る計画があるならT区分のテクニカルアックスへと移ります。

アッズかハンマーか、リーシュとカバーを別に買うかまで決めておけば、店頭で迷う要素はほとんど残りません。

ぜひ本記事の比較表と長さの目安を参考に、自分が今シーズン行く山に合う1本を選んでください。

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