登山マットの選び方|クローズドセルとエアーの違いを解説

テント泊の装備をそろえていくと、寝袋のスペックは細かく比べたのに、マットは「厚さ何センチ」しか見ていないという状態になりがちです。ところが地面からの冷えを止めるのはマット側の仕事で、寝袋は体の下側でつぶれてしまい断熱がほとんど働きません。
そこで基準になるのが、断熱性能を示すR値です。
ASTM F3340という共通の試験方法が定められてから、メーカーをまたいで数字を比べられるようになりました。
同じ厚さ5センチのマットでも、R値が1.5のものと4.5のものが並んでいます。
本記事では、R値と重さの兼ね合い・3タイプの構造の違い・長さや幅の表記の読み方・使ったあとの保管まで解説します。

アウトドア一歩 編集部
「アウトドア一歩」は、釣り・登山・雪山・海辺・BBQ・観察・クマ対策・ポータブル電源まで、アウトドアの道具選びを用途別にまとめるメディアです。メーカーが公式に公開している仕様を確認したうえで、何を見て選べばいいのかを整理してお伝えします。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
R値が足りない登山マットは寝袋の性能を打ち消します
R値は熱の伝わりにくさを示す数値で、大きいほど地面へ熱を逃がしにくくなります。
同じ試験方法で測られているので、メーカーが違っても数字をそのまま比べられます。
目安として専門店やメーカーが示しているのは、夏の低山ならR値2前後、春や秋を含む3シーズンで2〜3以上、残雪期や雪上に泊まるなら4〜5以上という範囲です。
ただし体感は服装・テント内の湿気・その人の代謝で変わるので、数字が足りていれば必ず暖かいという話ではありません。
使いやすい性質として、マットを2枚重ねたときのR値はおおむね足し算で考えられます。
R値2のフォームマットとR値2.5のエアマットを重ねれば4.5前後になるという計算で、冬だけ薄いフォームを買い足す人が多いのはこのためです。
冬用に1枚で完結させるより、手持ちを流用できるぶん出費も抑えられます。
なお、下から冷えを止めても上半身が寒ければ眠れません。テント内で羽織る一枚の選び方は登山用ダウンジャケットの選び方で、フィルパワーと重さの目安を解説しています。
クローズドセル・インフレータブル・エアの3タイプの構造差
クローズドセルフォーム
発泡素材の板を折り畳むか、ロール状に巻いて持ち運ぶタイプです。
空気を入れる構造ではないので穴が開いても機能が落ちず、岩場や砂利の上でも気を使わずに敷けます。
厚みは8〜20ミリ程度、重さは300〜400グラム前後の製品が中心で、その代わり収納したときにかさばり、ザックの外に付ける前提になります。
寝心地は硬く、横向きで寝ると腰や肩が地面を感じます。
インフレータブル(自動膨張式)
内部にウレタンフォームが入っていて、バルブを開けると自然に空気を吸い込んで膨らむタイプです。
厚みは2.5〜7センチほどで、フォームがあるぶん万一空気が抜けても厚みがゼロにはなりません。
ただし同じ厚みのエアマットより重く、400〜900グラムと幅があるので、縦走で重量を詰めたい人には不利です。
エアマット
空気層だけで厚みを作るタイプで、5〜10センチと厚いものが多く、体圧が分散されるので横向きでも腰が沈み込みません。
300〜600グラム台で収納サイズも小さく、軽さと寝心地を同時に取れる代わりに、パンクすれば一気に地面と同じになります。
補修キットを一緒に持つことが前提の道具だと考えてください。
タイプ別|登山マットが向いている人と向かない人
| タイプ | 構造 | 厚み・重さの傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| クローズドセルフォーム | 発泡素材の板。空気を入れない | 8〜20ミリ/300〜400グラム前後 | パンクの心配を持ち込みたくない人、冬に重ね使いする人 |
| インフレータブル | フォーム内蔵。バルブを開けて膨らむ | 2.5〜7センチ/400〜900グラム | 寝心地と安心感を両立したい人、山小屋前泊やベースキャンプ型の人 |
| エアマット | 空気層のみ。ポンプサックで膨らませる | 5〜10センチ/300〜600グラム台 | 収納サイズと重量を詰めたい人、横向きで寝る人 |
向かない組み合わせもはっきりしています。
ザックが35リットル前後で外付けを増やしたくない人がクローズドセルを選ぶと、藪や岩場でマットが引っかかって邪魔になります。
反対に、就寝場所が整地されていない山行が多い人や、道具を丁寧に扱うのが苦手だと感じている人には、薄いエアマット1枚での運用は勧めません。
パンクは修理できますが、暗いテントの中で穴を探す作業は現実的ではないので、翌日を1泊ぶん我慢する覚悟が要ります。
長さ・幅・厚みの表記を読み違えると足が出ます
長さはレギュラーで180センチ前後、ロングで195〜198センチ、ショートやスモールと呼ばれるものは120〜150センチです。
身長170センチの人がレギュラーを使えば頭からかかとまで収まりますが、180センチの人だと足首から先がはみ出し、その部分だけ地面に触れて冷えます。
ショート丈は肩から腰までを守って足元はザックや衣類で埋める使い方で、軽量化に慣れた人の選択だと考えてください。
幅は50〜51センチが標準で、63センチ前後のワイドもあります。
標準幅は肩幅ぶんしかないので、腕を体の横に置くと肘が落ちますし、寝返りの多い人はマットから転げ落ちます。
足元が細くなるマミー型は軽くなる代わりに、この落ちる感覚が強く出ます。
厚みは寝心地に直結しますが、R値とは連動しません。空気層が厚いだけで断熱材が入っていなければ、10センチあってもR値1台の製品が存在するので、厚さとR値は別の欄として読んでください。
登山マットの買い間違いは重さとR値の取り違えから起きます
いちばん多いのは、夏の低山を想定してR値2前後の軽いマットを買い、そのまま10月の高所テント場に持っていくパターンです。
気温が下がる時期は地面の温度も下がるので、寝袋を冬用に替えても背中の冷えは解決しません。
逆に、通年でR値6クラスを1枚だけ持つ選び方も、夏場は重量と収納サイズを持ち歩くだけになります。
年に何泊するのか、どの季節に寄っているのかを先に決めてから数値を選ぶほうが無駄が出ません。
もう一点、口で膨らませる癖には注意してください。
呼気には水分が含まれるため、内部にたまった湿気がフォームの劣化やカビにつながると各社が案内しています。
付属のポンプサックか、収納袋を兼ねたポンプを使ってください。
マットを100グラム削っても、足元が重ければ一日の疲れは変わりません。登山靴の選び方では、カットの高さとソールの硬さで決める基準を解説しています。
登山マットは保管の仕方で寿命が変わります
帰宅後にやることは2つです。
バルブを開けて中の湿気を抜き、表面の泥を拭いてから完全に乾かします。
濡れたまま袋に押し込むと、内部に残った水分が接着面やフォームを痛めます。
保管は、袋から出して広げるか、バルブを開けたまま緩く丸めた状態が基本です。
インフレータブルを圧縮したまま何か月も置くと、内部のフォームが復元しなくなり、バルブを開けても膨らまないマットになります。
クローズドセルも、折り目に重い物を載せ続けると折れ癖が付いて断熱の均一さが崩れます。
寿命の目安は使い方次第ですが、エアマットとインフレータブルは接着部の剥離や小さな穴で機能が終わるので、シーズン前に自宅で膨らませて数時間放置し、抜けていないかを確かめる習慣を付けてください。
テント泊そのものの備えでは、就寝時の食料管理も関わります。
熊よけスプレーの選び方で、噴射距離と容量、使う場面を解説しています。
よくある質問
ホームセンターの銀マットでも登山に使えますか
夏の低山や車中泊なら使えますが、多くはR値が公表されていないため、寒い時期の性能を見積もれません。薄い銀マットは冷えを完全に止められないので、3シーズン以上で使うならR値表示のあるマットを選んでください。
100円ショップのレジャーマットで代用できますか
座布団として休憩に使うぶんには役立ちますが、就寝用の断熱としては厚みが不足します。夜間に地面へ熱を奪われ続けると、寝袋の等級に関わらず眠れなくなるので、宿泊には向きません。
パンクしたときはどうすればいいですか
付属の補修パッチで穴をふさぎます。
穴の場所が分からない場合は、膨らませた状態で耳を近づけて音を探すか、水に浸けて泡を探します。
現場で直せないことも起きるため、衣類やザックを腰の下に敷いて、体幹部だけでも地面から離す備えを考えておいてください。
冬用に1枚買うか、夏用と重ねるかで迷っています
雪上に泊まる回数が年に数回なら、手持ちのマットに薄いクローズドセルを足す方法が合理的です。
R値はおおむね足し算で考えられ、フォーム側は穴を気にせず雪面に直接敷けます。
雪上での泊まりが主体になるなら、はじめから高R値のマットを1枚で運用したほうが荷物はまとまります。
まとめ
登山マットは、使う季節からR値を決め、そのうえで重さと収納サイズ、長さと幅を自分の体格に合わせていく順番で絞り込めます。
厚みとR値は別の数値であり、10センチあっても断熱が足りない製品はあると覚えておいてください。
ぜひ本記事の比較表とR値の目安を参考に、自分が泊まる季節と場所から逆算して選んでみてください。





